イダキとシャーマニズム

  古来からシャーマンと呼ばれている人達がいる。シャーマンとはトランス状態を操り、病気の癒し、魂の救出、妖術、霊界との交渉を行う人である。

  中でも力の強いとされるシャーマンは魂の飛翔を行い地下世界、水の世界に赴き、霊界の主や、病の根源と対峙し、交渉し、時には騙し、戦い、患者の魂を救い、霊界の主と動植物の繁栄を約束し、この世界に戻ってくるのである。

  その過程でシャーマンは多くの動物、虫などを守護霊につけ他の世界へ飛翔する。シャーマンは人間は生まれてから何かしらの守護霊に守られて生きてきているという。

  アボリジニではそれをトーテムといい、先祖代々受け継ぐトーテムと、母親が子供のために観るトーテムがあり、通常4〜5個以上のトーテムを持っている。そして儀式の際自分のトーテムの踊りを踊ることによってそのパワーを身に付けることが出来る。

  しかし魂の飛翔を行い他世界に赴けるのは、その特別な守護霊が必要になるという。

  どちらにしろこれらのことは通常の意識下で行われるわけでなく、トランス状態で行われ、さらに深いところに入りシャーマン的意識にたどり着くには、暗く長いトンネルを抜けていかなければならない。それはまるで母親の胎内から産道を抜け、この世に生れ落ちたときのようだとも言う。日本でもトンネルには幽霊話がつき物であるがこれらの理由からであろう。

  シャーマニズムにおいては楽器のもつ象徴的な意味もとても重要視されている。イダキの象徴的な意味は、男根、稲妻(稲妻が多く鳴り出す雨季は動植物を繁栄させるし、アーネムランドには雨よけの簡素な家が作られ雨季になるとそこにいることが多くなり多くの性交が行われることになる)、虹蛇(蛇は脱皮を繰り返すことから生と死と再生の意味合いを持ち、自然界の普遍的な生命循環を表し、虹は天地の交わりによって出来る生命の源である雨に太陽の光がさす事によって生まれる陰と陽の統合された結果で、新しい生命を意味している)であり、いずれも生命の源を表している。

  したがってイダキの音は人の意識にダイレクトに作用し、生命力を高め、霊的世界に誘うことが出来るといえるが、そこに立ち入るには繊細な自己観察能力が必要になるだろう。

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