神聖なイダキ

  アボリジニの世界ではイダキはとても神聖な楽器とされ、神話世界では死人を蘇らせたり、神聖な蛇の尻尾から出てきたりしている。蛇の尻尾というモチーフは興味深いものがあり、日本でも木は大地から水を吸い上げることから竜に見立てられる(川が蛇を象徴していることから蛇は水の象徴とされる)。

  イダキがユーカリの幹の部分から作られる事からこの神話は生まれたのであろう。

  アボリジニは6歳くらいの頃からイダキを吹き始めるとされているが、実際は2,3歳くらいから興味を持ち出し吹き始めている。

  イダキは自然と精霊の存在を学ぶための絶好の楽器である。なぜならイダキで表現する音は自然界の裏にある本質的なエネルギー振動(グルーヴ)だからである。例えばそれは動物の歩くステップだったりするのだが、ただそのステップを見たり聞いたりしてもだめで、その脚運びのグルーヴを感じることが出来なければイダキで表現することは出来ない。

  よってイダキは大げさにではなく森羅万象を操れる可能性を秘めている。アボリジニの儀式にはよくある事だが、最初晴れていたのにしばらくすると雨が降り出したり、風の少ない雨季にいきなり突風が吹き出したりする。

  イダキを生で聞いたことがある人は経験したことがあるだろうが、知らず知らずの内に音にはまり込みついには目を閉じてしまい喋れなくなる。そしてその心地よさに我を失う程になってしまう人もいる。イダキは人の無意識にダイレクトに作用するのである。

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