半族について

  半族については未開の部族には必ず見られる社会形態で、トーテムと密接な関係を持っている。先にも述べているがこの世の根本原理である父と母(陰陽)の働きをさらに細分化したもので婚姻関係の上でまず最初に区分される。創世の精霊によって取り決められた法で、昼間の熱い太陽は父方、夕日は母方、大まかに太陽は父方、月は母方と現象界の全てのものに細かく割り当てられる(トーテムとの密接な関係)が、人に対しての割り当てに関しアボリジニ社会では父方、母方共に4スキンネームまたは8スキンネーム体系と区分されており他国の原始的社会では見られない程高度に発達している。このスキンネームによって規則的な家族構成が決められており、人々はそれにそって割り当てられている。

  父方母方共にスキンネームと後に述べるクランごとに婚姻相手を決められており、父方社会体系の場合は父方のスキンネームを継承し、母方社会体系の場合は母方のスキンネームを継承する事になっている。

  このスキンネームについてもうひとつ重要な役割は社会全体としての規律である。つまり社会において自分の子供に当たるスキンネームを持つ者に対しては全員に父親としての立場をとらなければならないと同時に父親に当たる者に対しては子供としての立場をとることが出来る。つまりアボリジニ社会全体が大きな家族としての役割を果たすのである。言語グループによってスキンネームの呼び名の違いはあれども半族とその区分によって他の言語グループ(クラン)との家族関係を築く事はそう難しい事ではない。

  スキンネームの区分はヨォルゴ族に関し大まかに hanzoku


  注):< >は親族呼称

  となっており、例えば自分がガマラン<ガヤ>とすれば結婚するのはバンガレチャン<ガライ>で息子だったらボララン<ガット>、娘だったらガリヤン<ガット>となる。そして息子ボララン<ガット>の嫁はボランジャン<ンガンディ>で、娘ガリヤン<ガット>の婿はボラン<ワッコ>ボララン<ガット>ボランジャン<ンガンディ>の息子がワモット<マラチャ(孫)>で、娘がワモットジャン<マラチャ(孫)>となり、ガリヤン<ガット>ボラン<ワッコ>の息子がコジョック<ガミニャル(孫)>で、娘がコチャン<ガミニャル(孫)>となる。

  次に自分ガマラン<ガヤ>の女兄弟ガマジャン<ヤッパ>についてだが、先にも書いたように夫はバンガディで呼称は<ドワイ>。先と違い夫であるバンガディ<ドワイ>がイリチャ半族であるため子供はイリチャ半族になり、息子(甥)はボラン<ワッコ>、娘(姪)はボランジャン<ワッコ>ボラン<ワッコ>の嫁はガリヤン<ガット>でこれは自分ガマラン<ガヤ>の自分の娘に当たるスキンネームである。これでは従兄弟婚になると思いがちだが、ここで重要なのが実際の血族関係上の事では無く、あくまでスキンネーム上という事であり、同スキンネームを持つものは沢山いるという事である。ボランジャン<ワッコ>の婿はボララン<ゴロン>義理の息子になるが、自分ガマラン<ガヤ>との関係はポイズンカズン(禁忌関係)に当たり、親族呼称以外の名前で呼んではいけない、物も手渡してはいけない、目も合わせてはいけないなど相手を避けなければいけない関係になる。

  逆にガマラン<ガヤ>の父親はバラン<バーバ>で母親はンガレチャン<ンガンディ>、叔父はンガレチ<ンガッビビ>、叔母はビリンジャン<ムッカル・ルマロ>となり、父方の祖父はワモット<マリム>、祖母はコチャン<モモ>、母方の祖父はコジョック<ンガッティ>、祖母はワモットジャン<マーリ>となる。

  しかし、これは自分が一人目の嫁<バンガレチャン>を娶った場合の構成で、これに二人目の嫁を娶る場合はコチャンの中から選ぶ事になり、子供はバラン、ビリンジャンとなっていきこの法則は倍のスケールとなる。

  ドワイ、ガライと呼ぶ相手は一番理想的な結婚関係にあり、一番遠い親族に当たる。

  このように外部から見れば複雑極まりない家族構成も、家族に加えられ、あれがお父さん、お母さん、あれがおじいちゃん、おばあちゃん。そしてお父さんのスキンネームは〜おじいちゃんは〜と教えられれば自然と解かってくるようになる。

  アボリジニの名前は、

  個人名→ブッシュネーム→スキンネーム→部族名

  となり、この他に秘密の名前、現在では皆キリスト教徒にもなっているのでクリスチャン名がついてくることになる。

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