アボリジニは何処からやってきたか

  アボリジニがいつからオーストラリアに住んでいるかには様々な説があるが、一般的には東アフリカに発祥した人類が約10万年前に移動を開始し、中近東、アジアを経て約5万年前にスンダランド(現在のマレーシア、インドネシア、フィリピンが、現在のタイ辺りからくっついていた頃の大陸)から、サフルランド(現在のニューギニアとオーストラリアがくっついていた頃の大陸)へとカヌーを使い移住したといわれている。(ちなみに同じく約5万年前スンダランドの北端から現在の日本への移住も始まったとされている)

  しかし、1987年に中央オーストラリアで見つかった人骨の断片が約15万年前に遡る事や、オーストラリアにおける火の使用が約12万年前に遡る事、DNA鑑定によって約40万年前にオーストラロイドが他の人種(ネグロイド、コーカソイド、モンゴロイド、カポイド)に分かれていく種族と分化している事などが発見され、近年では人類のオーストラリア起源説までも研究されている。

  しかし学術的なことや科学的な事実というのは大事なことであるが、証拠があって確立するもので、それは地球の隅々を掘りつくし、あらゆるものを調べつくさねば答えを導き出せないものであり、それは不可能といえよう。したがって学術的なことや科学的に判っている事だけが全てではないし、それに酔っ払っているだけでは、その題材の導き出そうとしている答えまで見失う可能性がある。

  アボリジニの神話では人類の誕生はオーストラリア大陸の上で精霊の手によって行われたり(中央オーストラリア、南オーストラリア)、金星からやって来たりしている(キンバリー、アーネムランド、ケープヨーク)。

  オーストラリア大陸で精霊によって作られた伝説では、竜巻の中に稲妻が落ち、湧き上がった炎の中から人が生まれる伝説、男は土から、女は水から生まれる伝説などがある。金星からやってきたとされている伝説では、やって来た精霊の持ち物などによって人が創造されている。

  ほとんどの話に共通しているのは性質の違う2つの物(者)から人間が創造されていることである。これが示していることはそのまま男と女が交われば子供が産まれるということであり、男女の交わりによるオーガズムの情景や、赤子が女の人の体で大きくなっていく過程が、ドリームタイム神話なのである。

  アボリジニの観点からすればこの世の姿、形は精霊によって様々に変えられてゆくものだが、本質は変わることが無く、それは身の回りのもの全て、身の回りで起こる全てのことに現れている。

  だから今、文明社会で一般的に信じられているダ−ウィンの進化論というのはアボリジニからしてみれば変わった神話になってしまうし、進化をさせている精霊の登場が無い分多少味気のない神話であろう。

    アボリジニたちは紛れも無く別の舞台の神話からやってきて、そして地球という舞台の上で神話の中を生き、また別の神話の舞台へと移動していくのである。

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